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混沌の都市:エルサレム

トランプ大統領が、とうとうエルサレムに駐イスラエル大使館を移すと決めた。日程はまだだけれど、その発表だけで、世界中が大騒ぎだ。

私がエルサレム、つまりはイスラエルに行ったのはもう昔といっていい。何ねん前になるのだろう。それも記憶が不確かになってしまったが、アラブの国がすべてイスラエルを無視していたとき、国交をエジプトが開いた、そのあとのことだ。

エジプト旅行をして、ついでにシナイ半島をバスでイスラエルに行ってみよう、と一人旅がゆえに計画した旅だった。

エルサレムには1週間ほど滞在した。旧市街の、アラブ人が住む地区にあるキリスト教の女子修道院の宿泊施設に泊まった。本当はちゃんとしたホテルに泊まりたくて、旧市街を出たところにある豪華ホテルを訪ねたのだが、1泊が当時でも100ドルはして、とても払える金額ではなかった。

ユースホステルみたいな修道院の施設、ベッドが10個ほど並んで、まったくオープンだった。修道院だから朝7時くらいからミサがあるのだが、それよりも、アラブ人の地区だから、早朝も早朝にサイレンと何というのだったか、お祈りがものすごいヴォリュームで流れてくる。何じゃこれは、と毎朝、起こされていた。

すぐ近くにはゴルゴダの丘へ通じる細い道路、これはお土産屋さんが並んだ旧市街の見どころにもなっているのだが、があり、毎日、なんとはなしにぶらついた。
嘆きの壁にも行ったし、その上にあるモスクも、墳墓教会にも暇にまかせてうろついた。しかし、嘆きの壁周辺はのんびりとは行けなかった。黒ずくめのユダヤ教徒が壁を叩きながらお祈りしている。それにカメラを向けると、すごい怖い顔で禁止と言われる。その祈りの中に入ろうとしても、教徒でなければだめなのだ。

モスクは足を洗い、きちんとした格好をしていれば、別に何の制約もなく、入ることができた。
墳墓教会も、順番待ちではあったけれど、制限というのはなかった。

しかし、イスラエルは緊張を強いられる国だった。旧市街は観光客も多いけれど、ギリシャ正教も含む宗教団体の集合地になっていると思えばいいのだろう。石を投げれば宗教人にあたる、のだ。

なにもかもがストイックで、プロパガンダばかり、本当に疲れたけれど、エジプトに戻れば、アラブの混沌に、やっぱり疲れたものだ。

同じクリスチャンの友人と、いつかエルサレムに巡礼を、と言っているのだが、また、行ける機会は遠のいたようにも思える。
トランプ大統領、なぜ、あんなに混乱を招きたがるのだろうか。
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