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高級化粧品を買う

東京でフランスのブランド化粧品を買った。
東京で買うのは初めてに近い。
なら、これまではどこで買っていたのか、国際空港、だいたいはパリのシャルルドゴール空港免税品店である。コロナ禍の一つだ。

毎年、海外に出かけるとき、次の一年分の化粧品を免税店で買うのを常としていたのだが、この3年近く、海外旅行がなくなった。
間は悪いもので、最後の海外旅行のときは、化粧品がまた残っていて、さして緊急性がなかったので、買わずにいたのだ。ばか

基礎化粧品はやむなく身近な店で、国産を買っていたのだが、メーキャップ化粧品は、コロナ禍のマスク使用ということもあって、使用頻度は少なく、どうにか耐えしのいでいたのだ。

家籠りの日々だから、化粧もしないし、たまの外出、それも都会や人に会う(それなりの気をつかう人)時に一通りの化粧をしていて、さすがに残量が不安になってきた。

化粧品は高い。それも私が買いたいと思っているブランドものはバカ高い。
心の中でためらいはある。だいたい、化粧で化けることもできない年齢になっているのに、いつまで化粧をするのか?自問自答する。

その昔、と常の自問がでる。小さいとき、そのころ40台であったと思う叔母が化粧をし、赤い口紅をつけているのがとてもいやだった。
貧しい時代だったから、化粧というのは贅沢で、母もたまには化粧をしたけれど、月に1回もなかったように思う。
40台の叔母は、戦争未亡人で、娘をつれて実家(私の家)に帰ってきていた。
父と小さな弟を除いて女ばかりの家、最高齢は祖母、それに大叔母、母、叔母といたけれど、祖母に大叔母は常に素顔、そんな中で、叔母が化粧していると、女を感じて、それがいやだった。

昔の田舎のつましい家庭の意識というのはそんなものだった。小学生だったに違いない私には、叔母は叔母であって、女であってはいけなかった。特に従姉がいるのだから、女を捨てて、母親として生きていくべき、などと考えていたようだ。

だから当時の祖母にも匹敵する年齢になった現在の私が、美魔女でもない、年齢相当なのに、そんな高価な化粧品はいらないのに、と言われそうなのに。でも今はだれもそんなことは言わない。
いくつになっても、女性は美しくなりたい(願望に制限はない)、と思えばそうしていいのだ。
エステに通い、美容整形をし、いろんな努力、それがどんなに費用がかかろうと、本人がしたくて、その費用が賄えるのなから、どうぞご自由に、なのだ。

そこまではしない。ただコンパクトとほほ紅が欲しい。

友人とデパートへ出かけた。私が求めるブランドの店の前には行列とまではいかないが、少しお待ちください、と言われる。
店の中では、若い(私に比べて)女性がメーキャップを受けている。私は必要なものを買うだけでいいのよ、というがいずれにしましてもお待ちください、と言われる。

さあ、お待たせいたしました。こちらへどうぞ、と椅子をすすめられる。友人が、座ってメーキャップしてもらいなさいよ、と勧める。
ちゃんと買うのだから、メーキャップの方法を教わってもいいだろう、と居直る。
それでも、やっぱり、年齢や普段はメーキャップせず、庭仕事をしているので肌が荒れてしまって、と言い訳をする。
店員さん(とは言わないのだろう)はやさしく、しみも少なくて、きれいな肌をしていらっしゃいますね、とお世辞で対応してくれる。

美容院でも感じるのだが、人に髪は肌を触ってもらうのはとても気持ち良い。そしてプロはプロなのだ。自然な感じで、かつ肌はランクアップするような化粧品を選んでくれる。

この頃はこれが最後のなんとか、と枕詞で最後をつけるのだが、この化粧品が最後になるか、それともまた免税で買える機会がくるのか、でも女性の特質かもしれないが、化粧品2点だけで、とっても幸せになった。少なくとも、これがなくなるまではがんばるぞ!
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