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エリザベス女王国葬に見る

昨夜は早めの夕食をすませ、夜7時(日本時間)の国葬中継をしっかり見た。
96歳まで生きて、70年の在位の女王葬儀にふさわしい、万端に狂いのない儀式であった。

まあ、なんと映像向けの儀式であったことか!
だいたいにおいて、制服を着た団体というのは、規律正しくみえる。そこにはイギリス伝統の軍隊が配備されていた。スコットランドのバグパイプの部隊、赤い制服の竜騎兵、お棺を担当するのは海兵隊、どこを切り抜いても、フォトジェニック、いまでいうSNS映えがする。

王家の人々はなぜ、みなが軍隊に所属するのだろう。王族の義務なのだろうか。
アン王女が女性では一人、軍服にこだわりをみせている。
そして、その軍服を着れなかったのが、女王の息子の一人、アンドリュー王子であり、孫のヘンリー王子だ。
アンドリュー王子は、彼のスキャンダルにより、公務からの引退を余儀なくされ、軍務からも強制的に離れざるを得なかった(という)。
ヘンリー王子も、アメリカ移住を決め、公務を離れるとしたとき、どんな事情かは知らないが、離れるというなら、すべてから離れなさい、と軍務も解かれた(そうだ)。

それにしても、皆さん、勲章をたくさんつけていらっしゃる。
ロシアや、中国、北朝鮮、アフリカ諸国、新興国の軍人は、やたら、胸に勲章を飾っているのが特徴だだが、イギリスも負けてはいないな、と思った。
これが王国、なのだろうか。
それぞれがなんという勲章で、どんな功績があって授与されたのか、どんな重み、価値があるのか、まったく知らないのだが、軍人のみならず、黒いフロックコートを着用されているひとたちはほとんどが勲章付きである。

70年の治世のいくらかの記憶をたどりながら、テレビの映像をみていた。
アン王女からは、エリザベス女王の妹、マーガレット王女を思い出した。
エリザベス女王は、早くにマウントバッテン伯爵の甥で、ギリシャ王家の地を継ぐという、フィリップ殿下という、この上ないナイスボーイと結婚なさった。
妹のマーガレットは、そういう良縁に恵まれず、悲恋を経験なさったのだ。
つまり、当時のイギリスでは、王族は離婚経験者と結婚できない、というような決まりがあり、タウンゼント大佐、この人もとてもハンサムだったが、との恋を王族がゆえにあきらめざるを得なかった。
悲恋のプリンセス、と当時、関係ない私ですら、しっかり覚えているほどの悲しいラヴストーリーだった。

昨夜、国葬の実況に続いて、9時からBS3で、「国王のスピーチ」という映画を放送した。
エリザベス女王の父君、ジョージ6世の話である。彼は次男であったため、その父君が亡くなられたとき、兄が王位を継いだ。ところが、その兄は、アメリカ人の離婚経験者の女性、シンプソン夫人と恋におち、結婚が認められないのなら、退位する、と王位を放り出したのだ。
そんなことで、イギリスの王位はジョージ6世、そしてその長女のエリザベスへとつながった。

その話では、新国王チャールズ3世、のそばにいるカミラ王妃の話もまだ皆の記憶に残っているはずだ。
今度、王太子となったウィリアム、そして弟のヘンリー、母ダイアナが亡くなり、カミラ夫人が公然な存在として世に出て、正式に結婚、そして今回、亡きエリザベス女王の願いもあって、王妃と呼ばれることになった。
もし、である。ダイアナ元妃が存命であったら、カミラ夫人が王妃と呼ばれることに、彼らは納得できただろうか?と思ったりする。

あんなごたごたがあったのに、その長放任のチャールズは、しっかり新国王になり、God save the kingとうたわれるのを神妙な顔して聞いている。
年月はあの時の騒動を消してしまうものだろうか。
ダイアナ元妃がパリで、すざましい自動車事故で亡くなられたとき、謀殺の噂もでたほどだった。

死は罪を隠してしまう。日本における、元首相の国葬儀についても、死を悼むという、なにか反対できない雰囲気のなかに、彼の功罪の罪は取り上げられない。

エリザベス女王にしても、やさしいだけの人ではなかっただろう。70年の在位、そこには、政治からは手をひいた王室とはいえ、その王室存続のため、あるいはイギリスという国のため、自分自身のため、表には出てこない、負の部分がたくさんあっただろう。

しかし、立派なご葬儀だった。
国教会の葬儀とはこういうものか、と半分カトリック、半分プロテスタント風、聖書は一緒だが、歌われる曲になじみはなく、聖歌隊のボーイソプラノに聞きほれた。

世界から王室メンバーがそろっていたが、そういえば、ヨーロッパの王室のなかで、イギリス王室だけが、ナポレオンの最初の皇后であったジョゼフィーヌの血を受け継いでいないのだ、とか、スペイン王室の前国王が参列していることに、なんとも違和感をもったり、だった。
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