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エリザベス女王の遺産

国葬が行われるという、19日の朝刊記事に、冠ダイヤは「支配の象徴」インドで変換求める声、というのがあった。
2002年4月、エリザベス女王の母エリザベス皇太后(ジョージ6世の妃)の棺の上に置かれた、ダイヤモンド「コイヌール」が飾られた冠(AP)の写真がある。
コイヌールと呼ばれるダイヤモンド、初めて耳にした。

インド産のダイヤモンドだという。
記事によると、英国側は1849年に東インド会社が「譲り受けた」としている。105,6カラットの重さにカットされ、ヴィクトリア女王に寄贈された、のだそうだ。

105,6カラット、カラットは宝石のときに使われる単位というのは知っているが、重さを表すのとは知らなかった。
1カラットのダイヤの指輪というのは手にしたことがあるが、それが105カラットになると、どれくらいの大きさなのか、重さはグラムで言ってもらわないと想像もつかない。

先日、女王崩御のあとだが、王家の財産というのか、王家が所有する冠を紹介する番組があった。
深夜0時からの放送で、最初はみていたが、途中で目はつぶれていた。
いくつもの冠が、大きなダイヤモンドやいろんな宝石、そして小ぶりのダイヤモンドで飾られている。

先日、スコットランドで亡くなられた女王の棺の上に、スコットランドでの王冠というのが飾られていたが、連合王国というなら、ほかにイングランド、北アイルランド、ウェールズの冠もあるのか、と想像した。

チャールズ国王が相続される王家の財産、おそらくはこういった形のものがたくさんあるのだろう。
さあ、こういう遺産、どうするのだろう。
お金に困って、宝石を少しずつはがして売るのか、質屋にいれるのか、それとも新興IT企業の経営者に売るのか、どれもできないのだろう。そうなると、遺産といっても使いようのない財産になる。

このコイヌールというダイヤ、インドのほかパキスタンなどが返還を求めてきたこともあるようだ。
インドの地元テレビ局「NDTV]によると、キャメロン元首相は2010年、返還について問われた際、「一つのものに応じれば、大英博物館は空っぽになるだろう」と答えた、そうだ。

そうなのだ。王室の財産、どうやって形成されたものか、考えれば、おおかたは植民地時代、植民地からの搾取、の成果なのだ。
でなければ、国民からの税金の蓄積としか言いようがない、

もちろん、いろんな事業に投資した、その利益などもあろう。
そういう利益は、どうして得られたのか、

植民地時代の財産の清算は、いつかは行われるべきものだ。

簡単ではないだろう。

フランスでは、どの大統領が言い出したのか、ブランリー岸に建てられた、アフリカ美術、民芸品の博物館の所蔵物を、原産地国に返還する、という決定がなされた。
いくらか、返還されたらしい。
結果、しっかりした博物館学もなく、保管の設備もない、原産地国で、それらの貴重な展示物は、壊れる、盗まれる、などの運命をたどっているものもある、という。

パリのコンコルド広場の真ん中にあるオベリスク、これはナポレオンが持ち帰ったものだが、これも返却ということが話題に上ったことがある。まだコンコルド広場にあるようだが。
これにしても、エジプトでナポレオンが買い取ったもの、という説明もあるけれど、その買取価格が正当な価格であったのか、バーゲン(交渉)されたものか、力の差を考えると、とても正当であったとは思えない。

キャメロン元首相の言葉を裏解釈すれば、大英博物館の品々は、そのすべてが収奪された、ともとれる。

リチャード3世の戴冠式では、まだどの王冠も今の形で用いられるだろうが、ウィリアムが継ぐときは、小粒のダイヤモンドだけの王冠になってしまうのかも。
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