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beloved

9月8日、英国女王のエリザベスII世が亡くなられた。
その前日、テレビでは、新しい保守党の党首となったリズ・トラス氏を首相に任命される場面が流れていた。
その夜、海外ニュースを携帯で見ていると、女王陛下の健康が思わしくなく、医師団が見守っている、というような報道があった。
前日、ちゃんと立ち姿で、いつも通り、きちんとした服装で、新首相を迎えた姿をテレビで見ているだけに、きっと一時的なご不快であろうと思っていた。

ところが、翌日、NHK BS1の朝の海外ニュースをみていると、BBCは黒い服装のアナウンサーがでて、沈痛な面持ちである。バッキンガム宮殿が女王の崩御を発表した、という。

それから、報道はこのニュース一色になった。イギリスはもちろん、ほかの国の報道もエリザベス2世崩御で占めている。

その中で、私が気になったこと、報道で知りえたこと、など書き留めてみた
まず、後継者は、長く王太子として待たされたPrince of Wales Charlesである。これは問題ないのだろうが、その妻であるカミラはどうなるのだろうか。
これはすぐに、エリザベス女王が生前から、カミラ夫人がla reine consoirt王妃となれることを希望するといわれていたということが報道された。
亡き女王のお気持ちであれば、反対する人はいても黙っているだろう。

それでは、彼女の亡くなった夫、フィリップ殿下の称号はなんだったのだろう、と思った。reineをroiに置き換えればいいのか、つまりle roi consortだったのか、と思ったのだが、そうではなかった。
Son Altesse Royale le Prince Philippe, duc Edimbourg、つまりエディンバーグ公爵フィリップ殿下であった。

チャールズ王太子は直ちに即位、フランスでいう、王様はなくなられた、新王バンザイ、である。
チャールズIII世となられた。73歳の王である。

即位宣言というより、その前のエリザベスII世崩御直後の発言でもそうだったが、女王陛下というより、Beloved Motherという表現がとても印象的だった。
最愛の母、と女王というより、家族の中の母としてのエリザベスをまず口にしたのだ。

日本であれば、こういう私の部分は出されないだろう。
愛する、という表現はどういえばいいのか、そしてどんな場合に出せばいいのか、そんなことを気にしていたのだが、もう最初からbeloved motherであった。

70年の在位というのは、ルイ14世に次ぐ2番目の記録なのだとか。
近代になって、絶対王政ではないけれど、王室の存在、ヨーロッパでは多くの国がそうであるが、が民主主義とは相いれないのでは、という考えを持つ私としては、イギリス王室についてももろ手をあげての賛美はしないのだが、エリザベス女王の笑顔が好きだった。
本当に美しい、心からの笑みを表現していらした。

崩御直後のフランスの放送で、歴代フランス大統領全員とお会いになっている、という回顧を出していたが、ルネ・コティから現在のマクロン氏まで、つまり、コティ、ド・ゴール、ポンピドゥー、ジスカール・デスタン、ミッテラン、シラク、オランド、サルコジ、マクロン、これだけの大統領を迎えて、公式晩さん会のシーンがでた。
もちろん、女王は主賓の大統領の隣合わせ、右から左の政治思想の持主がいて、年齢もいろいろ、その時々で気に入りの大統領もいれば、いやなやつ、と思う人もいただろうに、と思ってみていると、どの大統領とも、本当に楽し気に、満面も笑みをもって会話していらっしゃるのだ、これには感心した。

そして、あの笑みは、えらい人たちだけに向けた特別仕様ではなく、民衆とあっているときも、つねに(ではないかもしれないが)、相手に向けられていた。

日本の皇族がみせられる、半ば強制されたようなこわばった笑みを見慣れていたので、こういう自然なこぼれるような、という表現がぴったりの笑顔がもうみられない、それは外国人にとっても悲しいことだ。
(続く)
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