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リスキリングと聞いて思うもの

この数年、新語のなかに外国語が混じることが多くなった、X世代、GX,、LGBTQ,、そしてカタカナ語が加わる、
このリスキング、という言葉、最初は最初のリスクとそれに伴うイングという言葉の合成だと思った、リスクを避けるなにかのテクニック、と思ったのだ。
しかし、これはリ、つまりre(再びなにかをする)とskill(技能)に現在進行形のingを組み合わせした言葉らしい。
普段に使っている英和辞典には載っていない。
このリスクの多い時代に、リスキングとくれば、リスクを避けるなにか、と思うのが自然だと思うのだが。

また、この言葉がでてきた場面が、なんとも納得いかなかった。
岸田首相が言い出したことらしいが、女性が出産休暇をとっている間に、スキルアップしたらいい、などという意図での発言だったらしい。
出産を経験していないので、その期間にスキルアップする余裕があるのか、わからないのだが、その発言をきいて、思い出したのは、マーガレット・ドラブルというイギリスの作家の著作「石臼」(記憶が定かでないのだが)だった。
未婚のまま出産するのだが、その子を乳母車(イギリスの乳母車は、豪華で乳母車のロールスロイスと呼ばれる)に乗せ、あやしながら、論文を書いている、というようなエンディングで、こういうできる女性を主役に、こういう場面で終わるこの作家に、果てしない憧れを抱いた。そして、イギリスでは現実こういうことが可能なのだろうか、と少しの疑問ももったのだ。

リスキング、今だとどういうふうにするのだろう。
私の身近な例を思い浮かべた。ほとんどが過去の例であるが、現実的に今もなお、同世代(数年若いけれど)で、現役として働き、そしてなおかつ、レベルアップのための努力を続けている人がいる。
もとの仕事を65歳の定年で退いたあと、別の会社に就職、外国語の能力を認められてのことだが、それからも、語学学校、レベルの高い人のためのプライベートレッスン、を続け、また体力維持のためにはテニスレッスン、趣味・感性にはオーケストラに参加、といった、信じられないほどのリスキングである。

彼女は例外的存在だが、私の周りには、過去のことながら、リスキングに励んだ人は多い。
身内のことで恐縮だが、もう半世紀も前、姉は安定した一流の会社を退職(九州の中都市においてはすばらしい職場であった)、上京し、英語の学校に通った。その学校は海外留学や現役会社員の実務レベルアップのためのもので、そもそも上級の学校だった。
その学校を終えたのち、いったんは就職したが、イギリスへ渡り、そこで仕事をみつけ、また配偶者もみつけ、結婚。そのご、彼女自身は仕事はしなかったが、配偶者の海外転勤にはすべて同行した。

その姉の息子は、大学卒業後、新卒で就職はしたものの、彼の思う仕事ではなかったようで、貯蓄にはげみ、イギリスの大学へ自費留学、MBAを獲得した。

さて、自分自身はどうだったか、顧みると、努力はした。そしてその努力はほとんどが実をむすんだ。
なんとラッキーだったのだろう!と思う。
外国語で仕事をしたい、と希望はもっていたが、外国語をさして勉強もしなかった。
しかし、外国語で仕事をするために、語学力も必要だが、まず、タイピストで働くというより、タイプはできないと、とタイプ学校に行った憶えがある。
ブラインドで打てるようにはなったが、聞きながらタイプする、とか、高度なことはできない、だが、履歴書の技能のところにタイプとは書ける。
そして語学学校にも通い始めた。大学の教養としての外国語では、とても仕事にならない。そこでレベルアップを狙ったのだが、語学というのは一瀉千里、というわけにはいかないのだ。

実力には幸運というパーツもあるという。私の場合、まさしくその例に与った。
事務職で働きながら、語学学校に通い、まだ十分な能力がないままに語学をつかう職場に転職できたのだった。

リスキリングというのは、どうすればできるのだろう。
目的とする技術を学ぶ学校などに通う、お金と時間がかかる。体力もいる。
東京などにいれば、そういう機関はたくさんあるのだろう。
しかし、地方在住者はそうはいかない。今は遠隔という方法も発達はしたけれど、私は自分ができないから、遠隔というやり方を信じない。
私が若いころ、語学を学ぶのに、通信教育があったけれど、慶応大学の通信教育に登録したとき、レポート1本出せなかった。

政治家たちはこともやす気に、リスキリングと仰せになるが、なにせ、お金、気力、体力、がんばらなくっちゃ、なのだ。
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