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子供ってだれのもの?

この頃、昔の常識、今の非常識、と思わざるを得ない現象に直面して、昭和から生きている人間の私としては、混迷の極みである。

今回は生殖の問題だ。
少子化の問題が日本のみならず、各国で問題視されるようになってきた。
隣国韓国然り、あの大人口をかかえる中国でも、一人っ子政策をやめたにも関わらず、子供の数が減り、一挙に老齢化が問題視されている。

今回、ショックを受けたのはフランスだ。
フランスは、昔は、カトリックの国だから、子供の数が多い、なんて言われていたけれど、それは政府が手厚い家族政策をとっていたこともあっての結果だった。
日本だと、貧乏人の子だくさん、という言い方もあるが、それも一つの真実をあらわしている。
どちらかというと、貧しいといわれる国、たとえば、アフリカやインド、今回のパレスチナでも、やけに子だくさん家族がいることがみてとれた。

その子だくさんの理由は、各自、考えることにして、フランスのケース、である。
フランスの家族を知ると、高学歴、高収入、という、恵まれた人たちが、けっこう子供数が多い。
そんな家族では、妻そして母という立場の人が、家庭に収まっているかというと、そうではない。
3,4人の子供がいることはごく自然なことだった。

それなのに、最近は、少子化で悩んでいる、というからびっくりだった。
そして、”子供を持つ”、あるいは、”子供を持たない”(中絶)、についての新しい動きをつきつけられている現実がある。

フランスで人工妊娠中絶(avortement)が認められたのは、1975年のことであった。
それまで、望まない妊娠をした場合、中絶をするのに、フランス国内で違法の中絶手術を受ける、中絶が認められている近隣諸国にいって、手術を受ける、の手段があった。
いずれにしても、国内では違法のことを受けるのだから、費用が高い、安全性が保障されていない、といった問題もあり、女性にとっては大変な苦労であった。

それからの紆余曲折、いろいろあったことと思うが、今度、憲法にも記されるかもしれない、という。
しかし、それは中絶ということだけではないはずだが、産むことについての自由と、いうのだろうか、"liberte garantie"という表現で、憲法に記されることになるだろう、という。
まだ憲法改正にまで至ったわけではなく、その可能性が強いということらしいが、憲法にまで記されることになるのか、とその動きに驚きである。

子を持つ、ということの、もう一つの驚くべき進化は、体外受精がある。
不妊で苦しむ人たち、不妊の原因が男性、女性、いづれにしてもだ、それが解決される道もできている。
正式に結婚しているカップル、結婚届けはしていないが実質的なカップル、そのカップルが不妊で苦しんでいるときの解決策なら、まだ旧世代も納得いくのだが、今では、不妊、単身であろうと、借り腹、あるいは、第三者の精子、卵子の提供を受け、かつまた別の女性の借り腹という形での出産もありうるのだ。

以前、調停員をしていたとき、夫婦の問題の調停で、子供をどうするか、ということがテーマになることが多々あった。
相調、男性は、必ず、子供を”愛の結晶”と言っていた。
私は、いささか冷めた観点で、愛の結晶というより、男女の性交渉の結果である、と解釈していた。

フランス人の父と呼んでいた人は、敬虔なカトリック信者で、75年の妊娠中絶法に反対していた。
受精の時から、それは命である、というのだ。
妊娠中絶を認める期間をどれだけにするか、ということでもめていたときである。
私は、受精のときから、というのには反論していた。
日曜日にも狩りにいく人をみて、なぜ、日曜日に殺生をするのか?と問うたとき、動物には魂はないから狩りをしてもいいのだ、という返事だったが、受精の瞬間から魂があるのだろうか?と疑問だったのだ。
それは、とうとう、私自身が子を産むという経験をしなかったこともあるだろうが、生命の神秘という、それは神聖なことだが、科学的な、あるいは母体を考えたとき、なにが正しいか、を問えば、答えは一つではない、という事実もあるからだ。

そして、いまでは、愛の介在しない、女性の欲求のみの妊娠も可能なら、タイで同時に多数の女性に妊娠をさせ、同年齢の子供を産ませたケースなど、恣意的な子づくりもあって、出産というのが、ただの生物的なことになってしまっている。

子はどうなるのだろう。
親ガチャなど、ということばが流行っているが、子は親を選べない。

先日、フランスの女性が、人工的に授精をするのに、精子は選ばない、偶然の結果でいいのだ、と言っているのをテレビで見た。
デザイナーベイビーというのも、心情的に受け入れらないが、血液型、フィジカルな条件、なにも注文を付けない、というのは、出産、その後の成長の段階で、本当に問題は生じないのだろうか。
自由というのは、やっかいなものでもある。
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