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お手伝いさんの愚痴

フランス滞在中、なにをしていたのだろう。日々の記録は残しているが、そこの書いていないけれど、多くの時間を費やしたのは、お手伝いさんの愚痴を聞くことだった。

週5にち、8時から午後4時まで、働いている。ほかの3人に比べ、時間に正確な彼女は、台所で朝食をとっていると、8時をまわった頃現れる。外はまだ真っ暗で、早朝出勤と思える。

父が起きてくるのは9時頃、それまではみっちり愚痴を聞くことになる。前日、彼女が帰ってからの父の様子、夕食時、何杯のワインを飲んだか、ここで、ワインの飲み過ぎについて講釈が始まる。父の場合、服用している薬の関係で、せめてワイン1杯にとどめておかなければならないのだが、父はどこ吹く風で、数杯飲む。

そこからスタートして、洗濯が多いこと、買い物が大変なこと、対外的な折衝もただのお手伝いに過ぎない自分が全て担当していること、などが続くのだが、まずはお手伝いさん扱いにしてはいけないのだ。
彼女の職業は、auxiliaire de vieという。お手伝いさんを意味するfemme de ménage とは違うのだ。ちゃんとした資格なのだとか。介護士となるのだろうか。
ところが家事一般も担当させられ、ほかの3人がちっとも働かないから、自分にだけ負担がかかっている、というのがメインである。給与も、日給で契約しているので、12月のように休日の多い日は手取り額が減る、という。

働きぶりはいいし、気はきくし、得難い人材なのだが、この愚痴の多さにうんざりだ。愚痴をこぼしたい気持ちもわかるし、自分の仕事ぶりを評価してほしいのもわかる。しかしその改善を求めるのなら、私にいうのではなく、改善を図れる立場の人に話さなければ無駄である。

そう伝えても、やっぱり愚痴は続く。こうnegativeに働いていては、毎日が楽しくないのも当然だ。苦笑の顔は見ても、心から笑っている表情をみたことがない。
ほかの人とは冗談もいい、大声で笑ったりすることもあるのだが、この彼女とは冗談が通じない。

父に対する態度も、口の利き方もだんだん上から姿勢になって来ている。言葉遣いはきちんとしているのだが、耳の悪い父に強い声音で、薬を飲むように言うのを聞いていると、あなたのために言っているのです、そうでしょう?と言わずもがなと思ってしまう。

彼女の献身がわかるだけに、無駄に愚痴をこぼすだけの彼女が哀れでならなかった。
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