SSブログ

フランスのストライキ

今朝の海外ニュースを見た。7時からのフランスのニュースは欠かさないようにしている。
またしても鉄道ストがトップで報道されている。
先週は、全国的、全職業できスト、かつdemonstrationが話題だった。

ストライキ、あるいはデモの理由、それは年金改革である。
現行では、フランスの退職年齢が62歳、いずこも長命になって、年金の原資が枯渇しようとしている。
マクロン政権は、年金開始の年齢を、つまりは退職年齢だが、62歳から64歳へ、そして納入期間を42年から43年へと延長しよう、と言い出したのだ。

その昔、年金制度はいくつかに分かれていたが、今は単一の制度になっているのだろうか。
受給の年齢をあげるというのは、そこまで働かざるを得ない、ということにも通じるが、フランスの皆さん、働くことがあまりお好きではない。働くということば、travailler、あるいは労働travailという表現は、古代の奴隷労働につながり、苦役を意味するのだそうだ。
日本のように、労働はよきもの、という意識ではない。
また、一日も早く仕事から解放され、自分の好きなことをする、というのが楽しみで生きてきているから、苦役の期間が延びる、というのは認められない、というのだろう。
年金支給年齢を2歳延ばすとともに、納付期間も42年から43年へと延長される。

先週のデモのすごかったこと。全国で100万人とも120万人ともいわれるデモ、および、全職種にわたるストライキが行われ、マヒ状態になった。
そこには現役の人のみならず、もうとっくに年金生活者とみえる高齢者の姿もあった。
ある高齢女性は、自分はもう受給しているけれど、子供や孫のために参加している、といった。

私はどうも口先人間らしく、いろいろ政治の在り方に一人で苦情、苦言を言っているのだが、参加engagementをしない。
フランスに住む友人は、日本に帰国するたびに、永田町に一人デモをしている、といった。私は彼女よりたびたび東京に行くけれど、永田町周辺には足をはこばない。

このフランスの老婦人は、あのウン万人という人込みをいとわず、デモに参加している。
ある老婦人は、家事手伝い(フランスではいくつもの家庭の家事を時間割で受け持つ)だったが、最低年金を受け取りたいから、といった。最低年金pension minimaleは1200ユーロらしい。日本円にすると16万以上になる。
もちろん、これは納付をきちんとしていなければ受け取れないのだろうが、日本で厚生年金はともかく、国民年金の満額だって、この半分にもならない現実から考えると、うらやましい。

すべての交通機関、病院、学校(先生たち)、国全体がマヒしてしまった先週だった。
今日のテレビでは、鉄道のストを報道していた。利用者の支持もあるのだろうか、報道で見る限り、利用者の不平もラディカルではないようだ。
日本では、全国的大寒波による各種のマヒを報道している。

日本でもこの物価上昇がすさまじい時期に、年金にたよる高齢者の不安は大きい。
しかし、その原因の一つに、年金制度をきちんと理解せず、納入を怠った、あるいは年金の制度の最下層にいた、といった制度の不備の犠牲者でもあるケースが多い。

若いころ、制度にはたよらない(フリーランス的に働いていた)、自分の力で人生を送るのだ、と恰好つけていたが、やっぱり制度にのっかっての生活になった。
国の制度や国民性の違いもあるけれど、フランスの労働者諸君、正当な権利は大声で主張しよう!


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。