旅の支度

人生もう高齢者となり数年。旅行歴は４０年以上となるのに、いまだもって、旅の支度が苦手である。

友人の一人は、同じ大きさのスーツケース、それに手持ちの荷物も同じ程度、必要なものがすべてそろっている。機内でのちょっとした必要物、キャンディやら濡れティッシュなど、さっと出てくる。旅慣れがよくみてとれる。

かたや私は毎年、考えに考え抜いて支度をしているはずなのに、どうもまとまらない。以前はラフなものに、お招れするかも、とちょっと気取った服、それにあわせて靴、バッグと一荷物あった。今ではそんなこともないだろうし、ラフ一本でいける。それなのに、荷物がまとまらないのだ。

今年はワンピースやスカートはいれない。そのかわり、ジーパンを加えた。はたしてこれでいいのか、３週間あまりをパンツルックだけですごせるのか。不安になる。

３週間ともなると、パジャマも２セットいる。父の家に滞在するから、お洗濯はできる。洗濯機につっこんでおけば、お手伝いさんがたまり具合をみて洗濯してくれる。ただし、できあがってくるまでに２、３日はかかる。干すのは台所、翌日には乾くけれど、すぐにアイロンをかけてくれるかどうか、わからない。アイロンを必要としないのなら、その段階でとってしまえばいいのだが、せっかくだから、パジャマにもアイロンがあたると気持ちがいい。

以前のお手伝いさんは、この家の洗濯は２週間に１回です、というので恐慌をきたしたものだが、今のお手伝いさんは、先だって亡くなった母の衣類を頻繁に洗う必要もあって、２日に１回は洗濯機をまわすようになった。

小旅行にいくかもしれない。そのための準備もしなければならない。靴はどうする、気温は、天気は、と考えるだけでうんざりだ。従妹が海のそばにある別荘へこないか、と誘ってくれているけれど、もう泳げるのか、と水着をいれることも考えなければならない。

スーツケースは出発２日前には宅急便で空港に送る。なるべくきちんといれておかなければ、手持ちの荷物が重くなる。重い荷物はもう苦手である。

いつもどうにかなっているから、今回もどうにかなるだろう。