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諜報か情報か

今朝、何気なしにテレビをつけると、NHKで”多国籍”テロの衝撃という解説委員であろう人たちが話し合っている番組にあたった。これは10時から始まっていたようだが、もう11時をすぎて、最後のころであった。

その時間帯に話あわれていたのは、情報収集についてである。アルジェリアのテロ事件で、あまりに情報のなさを嘆いて、どうすれば情報網を張り巡らせることができるか、ということにも言及されていた。
さすが、NHKの解説委員たちだから、普段の情報番組のコメンテーターたちみたいな無責任な発言はなく、それなりに情報通の発言だった。

時間に制限はあるし、いろんな話題に触れていらしたので、言葉足らずのこともあろうし、片言隻句をとやかく言う気はないのだが、全体として気になったことがある。

現安倍政権が、このアルジェリアテロ事件を契機にして、日本大使館に駐在武官をおくという計画をたてているとか。それは情報収集を一つには目的としているらしい。
駐在武官をおいて、情報収集というのが可能なのだろうか。日本にある某国大使館に勤務した経験からいえば、駐在武官というのは、なかば儀典的な役割のほうが多く、その下部あるいは別に情報収集の部門があったように思う。情報収集なのか、諜報機関なのか、それはわからない。現地雇用のスタッフが入れるようなスペースではなかった。

駐在武官を派遣したとしても、現地の言葉が話せる人はいないだろうし、いわゆる同じく本国から派遣されている武官仲間での情報交換だけに終わるだろう。どれだけの情報を得られるだろうか。

JETROやJICA、青年協力隊などから派遣されている人たちからの情報も貴重だという。もちろんそうだろうけれど、彼らを情報員として扱うわけにはいかないだろう。

アフリカ赤道直下の国、RDC(コンゴ民主共和国)に住んでいたことがある。内乱がおき、外務省からまず家族避難勧告が出された段階で、出国を余儀なくされた。危うい状況の中で過ごしていた時、日本人シスターたちがとても情報通であることに気付いた。
カトリックに限らず、キリスト教の宣教者たちは、アフリカ諸国の都市ばかりでなく、とんでもない田舎にも派遣されている。電気もないようなところでは、通信手段も限られているのだが、彼女たちは、無線をもち、発電機などで充電して、決まった時間帯に通信するという手段もとっている。

いろんな宣教会があるにせよ、重要な情報は、法王庁の大使館に集まるようになっているようだ。だから、法王庁はものすごい情報をもっている。だからといって、その情報を分けて下さい、教えて下さいといって、教えてもらえるわけではないだろうけれど。

スパイ小説というのは、一時たくさん読んだけれど、スパイが活動できるのは、都市であったり、発展した国においてのみではないだろうか。
RDCに行く前、深田裕介という作家の「高麗奔流」という本を読んだ。これは北朝鮮とRDC、当時はザイールという国名だったけれど、この2国を舞台にしたスパイものである。
私は北朝鮮に行ったことがないし、報道されているものを見聞するだけで、実情がわからない。だから、北朝鮮の部分についてはなんとも批評のしようがないのだが、ザイールの部分で、本当に実情を知らないで書かれているなと思った。
彼はそれなりにザイールに住んだことのある人に取材を重ねたらしいが、それでも実情はつかめないだろう。あの地の状況は、先進国に住んでいる人間には、想像できないからだ。

深田氏が書かれた時代と、私が住んだ時代は違うので、その違いなのかもしれないが、違和感を覚えたのは、
主人公なり、その周囲の人たちが、キンシャサ(首都)を自由に動きまわっていることがある。もちろん、車での移動だが、現地の人を運転手に雇わなければ、道はわからない。道路に名前はついているが、道路に表記があるわけではないから、何通りということがわからない。街灯がないから、夜になれば、どこなのか分からなくなる。もちろん、人家はあり、カーバイトの明かりなどがついているから、真っ暗というわけではないが、どの家も同じようなものなので、本当にどこなのか、わからない。
季節もある。雨季などであれば、道路は冠水して、簡単に移動はできない。だから、カーチェイスなど、絶対無理である。

電話もなく、通信手段なども限られている。私がいたのは10年以上前になるから、現状はわからないのだが、テレセルという携帯電話の前身は、能力以上の契約で、混線は日常的、秘密の会話など絶対不可能だった。

情報分析、そしてそのフィルターリング、統合、インテリジェンスといわれる通り、本当にインテリジェンスが要求される仕事である。日本でその訓練をうけるところがあるのだろうか。
そういえば、黒田という外交官が活躍する話しも、矛盾にあふれたものだ。
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