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本を読む

「舟を編む」というタイトルの本があった。三浦しをん氏著の、辞書編纂をテーマにした本である。
辞書編纂と「舟を編む」の表現がどう結びついていたのか、今になると記憶も残っていないのだが、「本を読む」というのは。なんの裏もない、本は読むもの、読むためのものである。

本を読む、読書、は今や、私にとって、食べることの次に大切なことになっている。
趣味というより、生きるための必要不可欠なことだ。
この読書があるから、変化のない田舎暮らしも耐えていける。
本という観点からいけば、生涯の中で、今ほど恵まれているときはない。

この10年ほど、読書した本のリストを作っているが、年間150冊から200冊を読んでいる。
これだけの冊数になると、何を読んだのやら覚えていられないので、リスト作成が必須なのだ。

この村には本屋はない。図書館もない。図書館がないというのは正式な図書館ということで、図書室というのはある。村の会館と称する建物の一室が図書室になっていて、そこにいくばくかの本が陳列されている。司書の資格をもった人はいないが、今、本の担当をしている人はとても優秀で、ツーといえばカーと答える、と表現していいのか、こちらの希望を理解してくれる人だ。

私の本の入手方法、それはこの図書室で購入希望を出す、図書館ネットワークを利用してリクエストで取り寄せる、という方法がある。
そのほかは個人的なものだ。
友人からのプレゼントである。
読書家の友人がいる。一人は神保町に住んでいて、たくさんの書店は我が家の書庫と呼ぶ(でもないか)ように、本屋を毎日巡回し、夫婦それぞれに本探しをすsる。
別の友人は、どういう方法で読みたい本をさがしているか、そこは知らないが、とても面白い本(好みが共通している)を新刊で買い、あっという間に読み上げて送ってくれる。
先日彼女のお母さまが亡くなられた。読書が趣味で、96歳で亡くなられるまで、本を身近においてらしたのだ。彼女は時代物もお好みで、私の手元にもずいぶん時代小説がまわってきている。

最近、友人たちが身辺整理を始めた。本は捨てられないものの筆頭にあがるものの一つだ。全集みたいなものはいらない、と言っているので、炭鉱本だけだが、一挙に本を送ってくる。
こんな本も出版されていた、とかこの著者の本は読んでいなかった、こんなエッセイがある、心理学、生き方入門、健康、宗教、ジャンルもいろいろだ。

これからの季節、外仕事が始まるのに、これだけの本を読んでいけるだろうか、本を並べるところもない。積み重ねておく場所すらなくなった。もう送られた段ボールにいれたままで、背表紙をみては、次の読書候補の順番をつけている。

そこで、我が家自体の本の処分も考える。
我が家は、小説といったものは買わなかったので、資料的な本がほとんどだ。
つれあいが生きている間に、一度は大整理をした。
だから、残っているものは、捨てるに捨てられない、なんとも重い思いの本なのだ。

たとえば、アフリカに関する本、ほとんどがフランス語だ。ほとんどはフランスで発行されたものだが、アフリカの出版事情を記憶している身には、貴重すぎて捨てられない。
といって、引き取り手はいない。いろんな特殊な図書館なども、もう所蔵スペースがないとかで、引き取ってはくれない。
つれあいが亡くなったときに捨てるべきだった。
しかし、私自身が捨てたくなかった。資料を読むことを職業としていた期間があったので、資料的に重要だろうものを、あえなく資源ごみで出すなんて。それなら、1ページずつ、読んだだけ焼いていったほうがいい、などと考えることもあるが、読まない。

本棚は物置化している。本はジャンルごとにプラスティックのケースにいれて、いつでも処分はできる状態にはなっている。
でも捨てられない。と言いながら、また別に捨てられない本の山がある。山という量ではないけれど、ある程度の分量だ。

わが著書である。
現役時代に出版した本を数冊ずつストックしている。今や需要はない。
なぜストックしているのか。
もしも、の場合のためである。つまり天変地異、何かのこことが起きて、電気、石油、いろんなものが入手できない、しかし、極寒の季節である、となったときの用意だ。
物語の題も思い出さないが、旅人をもてなすため、いろりに秘蔵の松の盆栽をくべた、という話にあやかって、そんなもしも、の時の燃料にでも、というわけだ。
ほかの本は、燃料などにするのは申し訳ない。自分の書であれば、なんのためらいもなく(おおいにためらうけど)、焚き付けにする、という意図だ。

今日はリクエストしていた本が2冊届いた。
テーブルの上には、読むべき、読みたい本が並んでいる。期限のある本は、有線順位が高くなるけれど、読みたい読みたい、と思う本との順位をどう折り合いつければいいだろう。
ああ、焚書坑儒の時代でなくてよかった!
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