SSブログ

清く正しく、美しい生活

去年の後半から、急に人生をどう終えましょう、ということを考え始めた。
これまでは、自分より高齢の方の末期を分析し、よりよい生活のための解決方法、などを勝手に設計していたのだが、急に自分の身を考え始めたのだ。

精神面では、なにかしら、指針になりそうな本はあるが、現実の生活の面、あるいは死に方についての詳細、というのはガイドブックが見つからなかった。
ところが、昨年末、「死に方がわからない」(門賀美央子著、双葉社)という本を新聞の読書紹介の中で見つけた。
これは大変に参考になった。当時、死に方を模索していたからだ。

しかし、立ち返ってみると、死に方ももちろんだが、そこにいたるまでの生き方、というのか生き終わり方、も研究しなければならない。
特に、独居老人としては、少ないお金で、人の助け(公助、共助も含め)を得るまで、あるいは得ながら、どう生き終わるか、それも先に解決すべきか?と思うにいたったのである。

村の図書館で見つけた。
1冊は「87歳、古い団地で愉しむひとりの暮らし」(多良美智子著、株式会社すばる舎)であり、もう一冊は、「71歳、年金5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活」(紫苑、大和書房)である。
最初の本は、新聞での広告も割と頻繁に出ていて、版を重ねていることは知っていた。
興味はあったけれど、まだ手にとるまでの気持ちになれなかったのだ。
しかし、現実、図書館にあれば話はちがう。すぐに借り出すことにした。

死に方の本もそうがだ、生き方の本も、それぞれにブログから本になおされたようだ。
多良氏はプロのライターだが、生き方本はアマチュアのブロガーというのだろう。

本になるほどだから、彼女らの生き方は見事だ。
特に年金5万円で生活している紫苑さん、まだ信じられない。

まあ、月5万円で生活というのは、だれにもできることではない。
両人ともに、大変工夫をされている。そして、その工夫を苦労とは思わない精神の潔さ、がおありになる。
紫苑さんは最後に「老後に必要なのはお金ばかりではない」と締めくくっている。
おっしゃる通り、でも、今月の灯油の代金は3万6000円だった、と私はつぶやく。
節エネルギーは心掛けても、寒冷地は健康維持に、どうしても暖房は欠かせない。

87歳の多良さん、「できることは自分で。でも、頼れるところはありがたく頼って」といくつかのサービスを受けていらっしゃる。
思えば、2年前に亡くなられた90歳をすぎた女性も、お一人暮らしだったけれど、最後の1年のお付き合いのなかで、極めて効果的に公助を使い、公助にはならないところを、私的な関係のなかで、自立を続ける努力をされていた。

実際にそういう方の生活をみれば、清く、正しく、美しく、の生活だった。
不正は働かないが、清い生活と言えるだろうか?雑然とした、紙ばかりあふれた机まわり、動かせば読む順番がわからなくなる、と本の山が2つ、3つ、整理整頓されているとはいえず、メモも散在、食事となると、それらを崩れぬように、動かして、食卓にする。とても美しいとは言えない。
物事もシンプルに、という両氏の説はごもっとも、しかし、年取ったウェルテルも悩みます。

87歳の本の後ろには、「74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる」(牧師 ミツコ)、「死ぬまで、働く」(97歳・現役看護師)という本の広告もある。
それぞれに版を重ねて、ベストセラーにもなっているという。

悩む人間、我一人にあらず、悩みは多種多様、本の数も限りがないようだ。

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。