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辞書・事典が捨てられない

今、第何次かは知らないが、片付け作戦まっただ中にある。つれあいが、寝室を別にしたい、というので、階下の8畳間を寝室にするための作戦だ。

そもそもこの部屋は座敷として設定され、1畳の床の間までつけたのだが、つれあいのデスクを部屋の隅っこにいれたのが間違いのもと、8畳のすべてを占拠されてしまった。

押し入れの上と、東側の窓の上に、天袋を作っていた。そこに普段読まない本をつっこんでいたのだ。

寝室ともなると、プライヴァシーもあろうと、つれあいの日常的なもののほかは整理することになった。

そこで天袋からも本を取り出したのだが、普段読まないということは、10年以上、読みもせずにほったらかしにされていたことになる。

目をつぶってすべて捨てる、と私はいうのだが、つれあいは一通り目を通して、と言い張る。50年もの職業生活を送ってきたのだから、それに関する本や参考資料もたくさんある。

その中で、つれあいも私も、捨てるにしのびない、と悩むのが辞書や事典、参考書の類である。

古い辞書は表紙が汚らしく、中の紙もシミができたり、黄ばんだりしている。だから使う気になるかどうかはわからないのだが、辞書作りの大変さを知っているだけに、そして辞書というものの面白さを知っているだけに、これを捨てるとなると、大変なストレスだ。

三浦しをんの「舟を編む」でも辞書作りの苦労が出ていたけれど、辞書作りというのは大変な作業なのだ。自分でも辞書っぽいものを書いて本にしたこともあるし、フランス語の辞書については、いくつかの辞書作成のなかで、協力もした。

あるフランス人は、離島に流されるとき、もっていくなら広辞苑にする、と言っていた。LarousseかRobertではないのか、と問うと、いや、ついでに日本語もマスターしたいから、それに広辞苑は面白い、というのだ。

捨てるか捨てないか、の判断がつかないものには、Harrap's Standard French and English Dictionnaryがある。Part 1がFrench-EnglishでPart2はその逆でEnglish-Frenchである。
アフリカにいるとき、ガードマンの一人が門の前で勉強していた。その地はフランス語が通用するのだが、英語を勉強している。がんばっているわね、と励ました。その励ましを好意と受け取ったのだろう、「マダム、英語とフランス語の辞書を下さい」とねだってくる。
そのガードマンの向学心は評価するのだが、当時、アフリカの人たちがなにかとモノやお金をねだるというのに、心理的にくたびれ果てていた。

今、この1000ページを超える2冊の辞書をあのアフリカの青年にわたしてあげられたら、と思う(彼がこれほどの辞書を必要としていたかどうかは疑問だが)。

おそらく、これらの辞書は、今回の廃棄作戦からは残ることになるだろうが、早晩、ごみと化すのだろうか。

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