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フランスのお葬式

11月1日は、フランスではToussaint(諸聖人の祝日)で国の法定祝日の一つである。
この前日は、ハロウィン、これはフランスでは最近お祭り騒ぎをするようになったが、死者を考える時、11月2日がFete des morts死者の日となっている。
11月1日、2日あたりに、フランスではお墓詣りをする。
菊の花の鉢植えがもっとも一般的なお供えになるが、故人の好きだった花なども多い。

死者、あるいは死を考える日になっているのか、今日のフランスのニュースには葬儀についての報道があった。
つまり、埋葬をどうするか、である。
遺体をお棺にいれて墓地に埋葬する(inhumation)か、火葬(cremation, incineration)である。
今日の放送では、1980年、1%であった火葬が、現在では45%となったそうである。

私はこの10年の間に、2回、フランスで葬儀に参列した。
フランスの、父母と称している人たちの葬儀で、まずは母、そしてその数年後に父であった。
母の場合、墓への埋葬、父は火葬ののち、母と同じ墓に骨壺(フランスの場合、完全に灰にするので、骨壺というより灰壺であるが)を納めた。

母の葬儀は何のクレームもつかなかった。
死亡後、葬儀屋さんの安置所におかれ、教会でミサが行われ、そのあと、パリ郊外にあるお墓に埋葬された。
そのお墓は、父の母方のもので、すでにだれかのお棺がはいっていて、母のお棺で満杯に近かった。

父の場合、そんな事情からなのか、彼の理性がその選択をしたのか、火葬にするように、との遺言があった。
遺言通り火葬に付された。といっても、現代、よく行われているような、葬儀社でのセレモニーではなく、教会でのミサを終えてのことだった。
カトリックの信者には少し受け入れがたいところがあったのか、ミサのあと、葬儀社で火葬に付されるとき、そこまで参列した人は少なかった。
とても時間がかかるというので、いったん、自宅に戻り、いわゆるふるまいに与ったのだが、その後、遺灰の受け取りには、子供たちだけで行ったようだ。
したがって、フランスの火葬なるものの、最終的なところはみていない。

その翌日、パリ郊外のお墓に納灰するというので、参加した。灰壺は割と大きかった。
お墓の蓋はすでにはずされていて、数年前に亡くなった母のお棺の上に、父の灰壺はおかれた。
娘が、花もお断り、なにも供物はなしだ、と厳しく言うので、花束dも、鉢植えも、なにも持参しなかった。ただ、従妹が薔薇の花びらをせめて、と、墓の蓋が閉じられたあと、その上に花びらを散らせた。

テレビの中で、今、火葬が主流となってきている理由として、埋葬の場所が少なくなってきている、経済的である、環境にもやさしい、というようなことが挙げられていた。

もう30年以上も前、お棺を土に埋める場所がなくて、アパート形式というのか、棺を設置する建物ができて、死者のHLM(Habitat a loyer modereいわゆる庶民用アパート)と呼ばれていた。
日本で、回転式の納骨室や仏壇があるように、フランスでも土地が得られない人のためである。

時代はかわる。納灰することもなく、直接、散灰するケースも多いらしい。

今年のフランス行きでは、最後と思いながら、とうとう父母の墓にはいかずじまいだった。


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