SSブログ

生まれ故郷に帰る

数日の間、生まれ故郷に帰った。もう父母は冥界に旅立ち、実家には長兄夫婦がいる。もともと、父母健在のころから、帰省というのもあまりしなかったし、お正月、お盆、お彼岸などの機会に帰ることなどなかった。

4年ぶりの帰省である。4年前は、中学校の同窓会と、丁度入院中の義兄のお見舞いというのがあって、思い切って帰ったのだ。
それから4年、毎年、何かの機会はあるのだが、自宅から実家までの距離、移動手段、費用、いろいろ考えると、なかなか実行できない。

今回は故郷ではないけれど、別の土地での仕事と絡ませて、帰省が実現したのだ。

故郷はよかった。今住んでいる寒冷地と違い、着いたときには蒸し暑かった。自宅では暖房も使っているのに、ふるさとではまだ冷房をいれるほどの気温だった。

ふるさとは遠きにありておもうもの、ではなかった。現実にその場にいくことだ。兄弟姉妹が集まってくれた。ふるさとの味を堪能した。すべてB級グルメの料理である。
ラーメン、うどん、焼き鳥、この3つを絶対食べて帰る、と決めていた。どの料理もどこでも食べられる品なのに、ふるさとのものは違う。

最初の夜は焼き鳥と決まった。ダルムにヘルツ、そして塩と七味唐辛子で食べる、これがふるさとの流儀だ。
ラーメンは豚骨、何が違うかといえば、スープももちろんだが、麺が違っているようだ。トッピングも微妙に故郷のものがある。
うどんは麺が細く、柔らかいものがいい。腰があるとか、太いものはだしがからまない。
トッピングにゴボテンにするのか、肉うどんにするのかで人生を左右するほどに悩む。

2日目の夕食は、魚やさんがその奥でしているレストランにいく。店の魚をそのまま料理してくれる。食べたいと思っていたカマス寿司もあった。母の作っていたカマス寿司とはちょっと違っていたが、それはそれでおいしかった。
イワシの煮つけ、小さいころ、安価なお惣菜として、よく食卓にのぼったものだ。兄弟そろって、その思いでがあるのか、全員一致で選んでいる。中骨を残す兄に、骨ごと食べられるのよ、と教える。少ないおかずで、ごはんをたくさん食べるためには、骨も残さず食べていたのだ。だから、あんたは背が伸びたんだね、と小柄の兄が言っている。今更遅いだろうな、と84歳の兄は2つめのイワシは骨ごと食べた。

18歳まで暮らしたけれど、あとは東京や外国の土地で暮らしている。だから、そんなにふるさとへの愛着はないと思っていたのだが、こんなに心がのびやかになるのはなぜだろう。

来年もかえってこれるか?と別れるときに兄が聞く。帰りたい、でも遠い。フランスよりは近いぞ、と兄が言う。それは正しいのだが、さて、フランスを諦められるか。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0