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アンティのマドレーヌ

赤ちゃんのときから5-6歳までベビーシッティングした女の子がいる。今では立派なティーンエイジャーだ。
今では別々の場所で生活しているから、会うことも久しくないままだが、彼女の誕生日にはカードを送るなり電話をするなり、毎年コンタクトは欠かさない。

今年も電話した。もう手元不如意でプレゼントを贈ることもできないが、何かしたい、と思っていた。彼女いわく、「アンティのマドレーヌ」を食べたい、という。

「アンティのマドレーヌ」、アンティという呼称は、姉の子どもたちから始まった。甥たちから叔母である私を叔母ちゃんではなく、アンティと呼ばせることに、何か外国っぽいかっこよさを感じ、それ以来、甥姪に限らず、幼いものには私をアンティと呼ばせていた。

その私の唯一作れるお菓子がマドレーヌだ。
マドレーヌはとても簡単に作れる。少なくとも私が知っているレシピーはそうだ。
チボー家の人々に出てくるマドレーヌのレシピーがどうかは知らないが、形も平凡で、貝殻形はしていない。
材料は薄力粉、砂糖、バター、卵の4種、それぞれが同量だ。キャトル・キャトルというフランスのお菓子はあるが、材料は全く同じだ。

手作りだから愛情がこもっている、という人もいるが、愛情は特別こめない。簡単だから作るだけだ。
バニラエッセンス、あるいはこの頃抹茶を加えることはあるが、基本的に上記の4つの材料だけで作るから、いつでも材料は入手でき、だいたい冷蔵庫にある。
ただ、この頃の特別材料は産みたて卵だ。前橋の友人が入手してくれる。それを使ったマドレーヌは特別おいしい。

友人の一人が言った。「アンティのマドレーヌ」で商標登録をしたら?と。いいアイディアだが、このマドレーヌ、売り物ではないし、注文受付もしない。ただただ自分の気の向くままにだ。

今回はご注文に応じた。友人から卵を入手したこと、気持ちがのっていること、女の子の注文がうれしかったこと、まだ私にできることがあったこと、やる気を起こさせた。

この頃は必要とされることが少ない。
女の子にもちろん送った。ところがいささかのトラブルが伴った。住所を間違った。引っ越したことは知っていたのだが、うっかりと旧住所で送ったのだ。
宅配便に連絡をすると、旧住所の宅配ボックスにいれてしまったという。宛名を確認しないで住所だけで処理した宅配にもミスがあるけれど、住所を間違った私のミスがもとだ。

産みたて卵で、作りたてを送ったはずが、2,3日遅れの到着となった。
これでは「アンティのマドレーヌ」はプロ化できるはずがない。

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