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キャベツ村スケッチ

もう2週間ほど前からだろうか、村道、農道いたるところに大型のトラックが止まっている。
トラックが狭い道を通るようになったとき、道を間違ってはいってきた、と思ったものだ。
しかし、それはキャベツのためだった。

この頃は、畑から直送である。鮮度は抜群なのだろう。
以前は、生産者が収穫をし、農協の拠点集合地に生産者の小型トラックで運んでいたように思うが、最近は、畑で直接箱詰めをし、トラックに積み込む。トラックも最新式で、荷台の片側が大きく開くようになっている。

転居してきたころは、農業というより、家庭菜園の延長みたいな雰囲気もあって、収穫しているところに出会うと、1個分けてください、と頼む。そうすると、収穫の手を休めて、2、3個渡してくれる。いかほど?と代金を聞くと、いいよ、しっかり食べなよ、とただでくださることがほとんどだった。

そのうち、収穫は昼間ではなく、深夜、早朝にサーチライトをつけて実施されるようになった。収穫する人も、畑の持主というより、そのために臨時に雇われた外国人労働者であった。
朝には裸になった畑が、ちょっと醜い姿をみせている。

わが村は高原キャベツの産地として有名だ。
キャベツというのは、そんなにもうかる野菜なのだろうか、といつも思うのだが、村の畑面積の90%はキャベツを作っているようにみえる。
キャベツというのは、本来、連作をきらうというけれど、ここでは毎年キャベツを作り続ける。

それなりに研究の結果、連作ができるようになったらしい。無農薬というわけではなさそうだ。というのも、そんなにキャベツ畑に蝶が舞っているという風景には出会わない。
これもとても低農薬でやっているのだろう。

無農薬で野菜のなかに虫がいてもいいか、低農薬で、虫はいないほうがいいか、これは結構難しい選択だ。時々、自家用というキャベツをいただくと、冷蔵庫の中で、虫がしっかりキャベツの中を食べつくしているということもある。

わが村のある地区は、特にキャベツで有名で、キャベツ御殿が並んでいる。キャベツが終わる冬には海外旅行、あるいは骨董商が売り込みにくる、とか、いろんな噂話がある。
単作というのは、季節的にうまく当たればいいけれど、豊作貧乏というケースもでてくる。

時には、包装の段ボール代も出せない、と畑でダンプカーがキャベツをつぶしていたこともある。

自慢ではないが、実際、わが村産のキャベツはとてもおいしい。私はわが村のキャベツは食べるけれど、シーズンが終われば、キャベツは終わりと思っている。

ロールキャベツは以前よく作っていたのだが、今は手間がかかってやらない。
大胆に4つくらいに割って、大きな鍋にいれ、ブイヨンで煮込む。
こうでもしないと、キャベツは一人暮らしには大きすぎる野菜だ。

実家の兄夫婦は、年中、キャベツの葉を1枚、朝食で食べているのだそうだ。それで体重は減り、とても健康になったという。

地元の人に聞くと、キャベツ1個、1日で食べきるという。そこまでキャベツにほれ込めば体重は減るのだろうが。

大鍋のなかには煮込んだキャベツ、冷蔵庫には新たなキャベツが待機中、今こそ、キャベツ尽くしの季節、ちなみにわが村ではスーパーでも、直売場でも1個100円である。
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