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御公現祭のころ

日本にくらべ、フランスの新年はそっけない、ように感じる。
クリスマスの宗教的な盛り上がりはなく、12月31日、大晦日、レヴェイヨンのパーティにでも出ないのであれば、普通にすごしていく。
テレビの番組も、もちろん年末特番的だろうが、外国人にとってはあまり感激がない。

1月6日、エピファニーというお祝いはちょっと特別だ。
ギャレット・デ・ロワというパイがこのお祭りを象徴するお菓子だ。アーモンドを素材にしたパイは、さっくりしてとてもおいしい。
この中にフェーヴ(ソラマメ)という小さな陶製のものがはいっている。切り分けたパイにそれがはいっていれば男性なら王様、女性なら女王様になる。

昨年の1月6日、私はパリにいた。エピファニーは代父と祝った。といっても、お手伝いさんが買ってきたパイを、父とお手伝いさん、それに私の3人で切り分けて食べた。
フェーヴは父にあたった。パイについてくる王冠を父にかぶせて、父の健康を祝ったものだ。

父にとって最後のエピファニーになった。
その数年前まで、父の家で甥や姪を招待して、盛大にエピファニーを祝っていたのだそうだ。
母の兄弟が多かったし、ほとんどが4、5人の子供をもうけていたので、甥・姪の数も多く、配偶者もくるから、相当の人数になったらしい。

エピファニーのパーティは簡単だ。だいたい、昼に、昼ご飯をすませて集まることもある。
シャンペンとパイ、それだけでもいい。

そんなエピファニーのパーティは、母が体調が悪くなり、ついで父も、と、大人数で集まることがなくなったのだ。

お手伝いさんとたった3人でのエピファニー、シャンペンもない。

と、去年のエピファニーを思い出している。

父はそれから2ヶ月後、亡くなった。

今年はパイも、シャンペンもない。去年、父があたったフェーヴは、私が持っている。

フランスではジレジョーヌ(黄色のヴェスト)の騒動がまだ続いている。単発的に行動していたものが、連携していくのだという。
今年、フランスも波高しのようだ。

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