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田舎のプライヴァシー

別荘地に住んでいる。10月末ともなれば、ほとんどの別荘族は引き揚げ、閑散としたものだ。
常住の人もいる。我が家もそうだけれど、2ブロック離れたところに、女性高齢一人暮らしのお住まいがある。

我が家と同じころに建てられて、ご夫妻で移り住まれた家だ。数年前から奥様の一人暮らしとなっていた。もう80歳後半のおひとりぐらし、もちろん車の運転はなさらず、食料品は2週間ごとに注文、配達で済まされていた。

お豆を煮たりなさると、届けてくださるのだが、こういう料理の年期が違う、とてもおいしくて、
亡くなったつれあいも、花豆の煮ものなど、楽しみに待っていた。

その方のおうちに人の気がしない。雨戸は締まったままだし、洗濯物が干されていることもない。
歩くことが割と不自由になられていたから、ご旅行というのも考えられない。
入院でもなさったのか?

親しくしていた我が家に問い合わせがはいる。私も海外旅行やら、所用ででかけることが多くて、気にはなりながら、お尋ねしていなかった。

管理事務所に問い合わせをする。入院されているみたいですよ、ご長男がみえていました。冬になるので、水抜きなど必要なのか、お尋ねしたら、そうおっしゃっていました、とのこと。
しかし、入院先はわからないのだそうだ。

民生委員もご存知ないし、また知っていても、教えられないらしい。ということは、村役場の社会福祉課あたりに問い合わせして、ホームヘルパーで来ているひとに聞いてもらうこともできない。

本人の携帯電話番号は知っているが、さて、重病であれば電話も通じることはないだろう。

幸い、私は彼女の親族の連絡先を聞いていた。ご長男、娘さん、それに妹さんの3人だ。というのも、一度、妹さんだったか、我が家に電話がかかってきた。電話が通じないので、様子をみてきてほしい、というのだ。我が家の電話番号を聞いていたらしい。

その時は彼女が携帯をもたずに、長く散歩していたということがわかったのだが、なにかがあったときに、連絡できる、あるいは連絡しなければならない方の番号をいただきたい、ともらっていたのだ。

ご長男に連絡して、入院先もわかった。さっそくお見舞いにでかけた。もう1カ月以上になるという。その間、心配していた友人、知人がいることに、恐縮しきっていた。

この頃は個人のプライヴァシーを尊重しなければ、と個人情報がだされない。しかし、それも不便なものだ。

私になにかあったとき、管理事務所には弟と友人の連絡先を登録している。しかし、ご近所のかたにはなにも知らせていない。

なにかがあっても、きっと地元の友人、知人には情報は与えられないだろう。だれに知られることもなく、ということになる可能性も大きい。
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