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ギリシャに住みませんか?

たった10日間の滞在で、結論をつけるのは妥当ではないと思うのだが、ギリシャに住みませんか?と言われると、きっとウーンと考え込んでしまうだろう。 今回の友人宅での滞在、もう文句をいう余地のないほどの歓待を受けた。友人は92歳の寝たきりの母親を一人で介護しながら、私に上げ膳据え膳のごちそうを作ってくれ、私は女王様のごとく、サロンのソファーをベッドにかえ、ふんぞり返っていたのである。 92歳の母親は、寝たきりになって2年、ずっと彼女が介護している。2人の娘の長女が結婚してすぐ近くに住んでいるが、夫と4歳も息子もい、働いてもいるので、恒常的な手伝いはできず、何かがあるとき、手伝う程度だ。 母親は、ボケも始まったのか、会話は少しはするけれど、理解しているのかしていないのか、はっきりしないときもある。 あなたも一人、私も一人と一緒、あなたの都合のいいときに来て、1カ月とか2か月とか滞在しない?と聞いてきた。ここが窮屈なら、同じ市内にアパートを1室持っているから、そっちに滞在してもいいわよ、という。 同じ市内にすむ長女もそうすればいいのに、と言い、ウィーンに住む次女も、そうしたら、ウィーンにも来れるじゃない?という。 次女の義理の父はザルツブルグに大きな家を持っているという。そこにも遊びにいけるし、とあこがれのザルツブルグへのお誘いもある。 小さな国境沿いの町を訪ねながら、昔していた旅行を思い出した。その時々、自分の好きに移動するという旅行だ。 2か月もあれば、エーゲ海の島々、それにギリシャの近隣の国々にも行けるだろう。悪くはないかな? が、やっぱりだめだ。何がだめ、というと、ギリシャの言葉が全くわからない。音で聞いても、文字でみても、チンプンカンプンである・ ふつうのアルファベットなら、イタリア語、スペイン語、ドイツ語、いくらかの推察はできるし、音からもわかる言葉もある。しかし、ギリシャ語はだめだった。 10日間の旅行にたった2冊の本があっという間に終わった。もし2か月いるとなると、どんなに大量の本を持参することになるのか・ 情報を得られないのはこんなにつらいことなのか。アフリカでも、フランス語と英語の放送を衛星放送で受信できていたので、これほどの飢餓感はなかったような気がする。 それに食べ物、洋風な食べ物は大好きだったのだが、今では、オイルが多すぎると胃にもたれる。 やっぱり長い食生活の違いだろう。92歳の母親は、毎食友人が準備するのだが、最期にオリーブオイルを1滴、2滴なんてものではなく、相当量流し込んでいる。 高齢になってもオイルは適当にとらなければ、消化や排せつに問題がでてくる。母親もそれでおいしく食べているのだから、それがいいのだろう。 3日目くらいから、オイルが胃にこたえるようになった。これは料理の量が多くて、これもあれも食べろと言われるせいだと思っていたけれど、必ずかけてあるオイルも問題なのだということがわかった。 ブレという、ありとあらゆるスィーツにテイクアウトもできるお惣菜一式を売っているお店で、ランチをしたときのことである。 なるべくオイルのないもの、とシーフードサラダを選んだ。これならさっぱり食べられそうだ、と安心していたら、お店の人が私に手渡す前に、オリーブオイルをどどどっと注ぎ込んだ。エッー止めて、といいたい私の気配を逆にとって、もっといれるか?と聞いてくる。 この2つをもって、旅行ならできるが、すむことはできない、旅行も2週間がせいぜいだ、というのが今回の結論だ。 それにギリシャ風の生活時間(これについては別途)、それにトイレの問題、プラス、お風呂、シャワーが主で、浴槽にお湯をためて、ということはとうとうしなかった。 すめば都、どんなに鄙の地にあろうと、我が家が一番、という気配を感じたのだろう。友人はさみしそうに、いつでもいいからまた来てね、もっと長く長くね、と言ってくれた。そうするとはこたえたのだが。
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