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塩を選ぶ

日本にアジシオができて、その甘い塩に感激したのはいつのことだっただろう。
今、我が家にはアジシオはない。

もっぱらフランスの塩を愛用している。それも南仏カマルグの塩だ。いつこの塩を知ったのか、もう覚えてはいないのだが、南仏に住んでいたときではなく、帰国してのことだったと思う。

友人の影響なのか、あるいはお料理に目覚めたのか、塩が料理の味を左右することに気づいたのだ。
たまたま、フランスのスーパーで南仏カマルグの名をつけた塩をみつけた。フランス土産としていいかも、といくつか購入。

それを使い始めて、たとえば、トマトを食べることが楽しみになったり、炒め物の味がよくなったりと、いくらか自覚もしたけれど、その塩をおみやげとして差し上げたひとたちからの賛辞が半端なかった。

この塩はおみやげの定番となったけれど、ほかにバジルが加わった塩は夏のズッキーニ用に、あるいは赤トウガラシと胡椒の粒がはいった塩、トリュフ入りの塩、ヴァラエティは増えていく。

地元の特産、キャベツを食べきれないほどいただく季節となった。一番の好みは、塩もみでたべることだ。手でちぎったキャベツ、きゅうり、茗荷、ニンジンのスライス、大根かカブ、シソ、ショウガの千切り、これらをいれて、カマルグの塩をふる。その量は目分量。

塩をもみこみながら、ついでにつよく野菜をもむ。しばらくおいて、水分がすこしでたところで、しぼって冷蔵庫にいれておく。
この塩加減だけがポイントの料理ともいえない品が夏の特別料理となる。

そのポイントなるカマルグの塩がなくなった。油断もいいところだ。国産の塩でためしてみるが、どうも味にパンチがない。柔らかみもない。

さて、フランスの友人に送ってもらうように頼むか、あるいは、日本でも売っているという話もきくから、探してみるか、と思っているところに、救い主が現れた。
この塩のおいしさをその昔に伝えて、それ以来、ファンになったという友人と、たまたま会ってその話が出たときのことである。彼らもフランスへ毎年行くのだが、その都度、購入してくるという。その塩が余分にあるので、分けてくださるというのだ。

亡くなったつれあいがよく言っていた、あなたの料理は素材や調味料で勝負しているね、と。そうなのだ。それが大切なのだ。

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