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金継ぎという技術

昨夜、ようやくミッションが終了した。今回のミッションは、フランスからの客の接遇である。なんて難しいことをいうと、よほどのVIPを相手したようだが、フランスの父の甥夫婦が仕事で来日、甥のほうは仕事で拘束されているが、その妻は昼間、フリーの時間がある、というので、その相手をしたのだ。

ところが、その彼女、注文が多かった。趣味の多い人で、そのなかでも陶芸に夢中なのだが、日本の金継ぎを学びたい、とフランスから来る前に注文をつけてきたのだ。

観光協会で取り寄せた資料にある、ツーリスト向けの金継ぎ教室のことを知らせると、もっと詳しい教室はないのか、と言ってくる。
そもそも、金継ぎの技術を知っているわけではないが、漆を使う、本当に繊細な技巧を要する仕事だということは理解している。

それを体験したいというのだから、ツーリスト向けの簡単なものでは満足できないのもわかるけれど、そう彼女の希望に添えるところがあるかどうか、まったく白紙である。

ところが、やっぱり救う神はいる。友人がその知人網を駆使して、見つけてくれた。個人レッスンをしてくださる先生を探し出したのだ。

通訳というほど、フランス語もできないし、技術用語もわからないまま、同席して、金継ぎがどんなものであるか、を見学した。

彼女によると、金継ぎは日本独特の技術だという。フランスなどでは、接着という形での修理はするけれど、その割れ目を強調して、割れたところを目立たせるなんていう考え方がすばらしい、というのだ。

個人レッスンは成功裡に終わった。彼女はフランスでもそれをやりたいと、金継ぎの材料を全部そろえたいという。
それなら東急ハンズ、というのがやっぱり王道らしい。

一応、一通りのものはそろった。先生が使っていたような道具を全部ほしい、というのは無理なことだった。職人というものは、道具を手作りする。したがって、全部をそろえることはできないのだ。

さあ、はたしてフランスでもできるのか。レッスン工程や、道具などをフランス語にして送ってね、と頼まれる。
まさか、そこまでミッションにいれるとは!!!

mission impossibleではないけれど、mission dificileではある。

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