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ジョルジュ・サンドにはなれない

男装の麗人、この言葉にはあこがれる。といっても、宝塚の男役を好きなわけではないのだが。

私が好きと思えるのは、フランスのジョルジュ・サンドである。小説を書き、フレデリック・ショパンと生活を共にしたこともあるこの女性、本当は詳しく知らない。

マジョルカ島へ行ったとき、彼らがすごした山荘を訪れ、そこでサンドの小説を2、3冊購入したのも、まだ読んでいない。

ジョルジュ・サンドの出身地は、パリの亡き父の故郷に近い。いつか訪れたいと思っていることを告げたとき、父は、そのうち案内するよ、と言っていたけれど、とうとうその機会がなかった。

彼女のような小説が書けないというのではない。男装を試みたのだ。つれあいの残した服のなかに、ポルトガルを旅行したとき、購入したスーツ上下がある。つれあいの服は、だいたいが暗い色のスーツ、つまりはドブネズミ色だ。その中で唯一、明るい色のスーツ、それがポルトガルで買ったものなのだが、つれあいはあまり着なかった。というのもできあいのスーツ、どうも日本人の体形に合わなかったらしい。

つれあいが亡くなり、その衣類はほとんど処分したのだが、この明るいスーツはもしかしたら、私が着れるかも、と残したのだ。今の季節に丁度よかろう、ときてみた。サイズ的には問題ない。
ところがいくつもの難点があることがわかった。まず、生地が重い。男性の着るものはこんなに重いのか、と驚きだ。次に、男性と女性の体形の違いから、サイズはよくても微妙にぴったりこない。プラス、つれあいがそうであったように、日本人の体形とは違うのだ。

色がいいだけに、鏡に映してはどうにかならないか、さぐってみる。しかし、これを直しに出す気にはなれない。

きっとサンドは自分用に仕立てたものだから、あんなにさっそうとしていられたのだ、と当然ながら気づく。

日本のジョルジュ・サンドを自認しようか、と思った気持ちもあえなく失せた。


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