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カンヌ映画祭で思い出すことなど

南仏カンヌで行われていた、第71回カンヌ国際映画祭で、長編コンペティション部門、つまりメインの長編映画の部門で、是枝監督の「万引き家族」が、パルムドールを受章したというニュースが、昨夜流れた。
21年ぶりのことである、という。その21年前のパルムドールは今村監督の「うなぎ」であった。

この「うなぎ」、思いがけない授賞だった。

このころ、南仏で生活していて、カンヌへは何度も行った。「うなぎ」が受賞する前年には、映画祭のファイナルの日、つまり表彰式のある日に、映画祭へも行った。

映画俳優でもなく、映画祭の関係者でもないから、普通の服装でもいいのだろうが、少しは気張った、それなりに派手目な服装にした。
一応、運転手付きの車、メルセデスだったが、レッドカーペットのところで車は止まる。自分でドアを開けるのはしない。運転手があけてくれるのを待って、すっと脚をのばす。まわりには映画ファンが大勢つめかけている。
きっと慣れたファンなら映画スターではないことがわかっている。車はメルセデスでも、デラックスではない。耐用年数もおおくて、少しくたびれている。
開いたドアから出た脚も、すらりと長い脚ではなく、すこし太目(少しどころではないかも)だ。

当時はデジタルカメラではなかったから、車から出たとたん、スターではないということがわかったのか、フラッシュがとまる。

それでもつれあいと腕を組んでレッドカーペットをのぼっていくとき、これがカンヌ映画祭なのだ、と思った。

その前日には、ホテルのエレベーターの中で、アメリカの有名スターと一緒になり、こちらは相手の顔を見知っているので、ついBon jour monsieur, vous allez bien?などと言ってしまった。
礼儀正しい返事があったことは覚えている。

そして「うなぎ」の年だ。たしか、あまり下馬評には登場しておらず、上映されるのも、最終日の夜中、というので、とても行ききれないと、パスしてしまったのだ。

ところがパルムドール、しまった!とは思ったけれど、すでに遅し。

実際に「うなぎ」を見たのは、日本に帰ってのことだった。
あまり感動しなかった。私の感性はあまり芸術的ではないようだ。
映画祭自体も、あまりに人がうろうろしていて、楽しめた実感がない。縁のない世界なのだ。
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