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「内密出産」(赤ちゃんポストの課題)

今朝の朝日新聞に、熊本の慈恵病院が、「内密出産」の仕組みの素案を熊本市に示した、という記事があった。
「内密出産」というのは、予期せぬ妊娠をした母親が匿名で出産し、子どもは後で出自を知ることができるという仕組みのこと、という。
出自情報は自動相談所が管理し、子どもが18歳以上になれば閲覧できるとした、という。

まだ素案の段階であるということは、法整備がされていないことでもある。「内密出産」、「秘密出産」「孤立出産」「匿名出産」いろんな言葉があるけれど、要は、母親が出産の事実を秘密にしたい、子どもとの関係を断ちたいということだ。

フランスではaccouchement Xという制度が戦後あたりから存在する。匿名での出産であるが、近年、子どもはその出自を知る権利が認められ、出産時の情報に接することができるようになっている。

この素案の仕組みは、病院が匿名での相談と出産に対応、一方児童相談所は母親と面談し、母親の実名や住所といった出自の情報を保管する。子どもが18歳以上になれば、子どもの請求に基づき閲覧を可能にする。母親が閲覧を拒否する場合は、家庭裁判所に判断をゆだねる、というものだという。

まだ地方の一病院が提出した素案であるし、国の法律として出てきたものではない。

この問題も、いつも矛盾だらけだと思う。病院はカトリック、あるいは病院という立場から、一人で出産することの危険性や、子どもの安全を担保するためにも、内密出産をさせてやりたい、しかし、子どもの権利からいえば、出自を知りたいと思うときはくる。母親はそれを隠したい、
難しいことだ。

パリの両親は、2人の養子をもらったけれど、2人ともこの匿名出産による赤ちゃんであった。実子ではないことを、小学生のころには打ち明けたという。子供たちもその後、自分たちの実母を探すことをしたけれど、実母をみつけることはできなかったらしい。

捨てられた子という意識が、養父母へと向かい、親子関係は難しかったということだ。
こういうとき、なぜ、母親だけが責められるのだろう。父親との関係が断たれてしまっているから、母親は匿名出産を選ばざるをえなくなっている。

日本での実例を身近に知らないが、フランスの両親宅で、親子関係の複雑さを目の当たりにしているから、この内密出産、常に気にかかる。
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