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待て、しかして希望せよ

この言葉は、フランスの大作家アレクサンドル・デュマ(父)の「巌窟王」最後のせりふである。

フランス語でなんといいますか?と、その昔、フランス関係の仕事をしていたとき、問い合わせをもらったことがある。

Attendre et espererというのらしい。山内義雄訳「モンテ・クリスト伯」(岩波文庫)では、「待て、しかして希望せよ」となっている。

ようやくこの岩波文庫版の「モンテ・クリスト伯」7巻本を読み上げた。

昨年の夏前だったろうか、朝日新聞の読書欄にこの本が紹介されていた。訳者を存じ上げていなかったので、きっと新訳であろう、と思った。友人が版権の年数をすぎた「風と共に去りぬ」を新訳で出版したことで、そのように理解してしまったのだ。

ところが、新訳がでたわけではなく、この山内氏の版は延々、現在までも有効なのだ。新規の購入をせず、図書館を利用することにした。村の図書館の書庫に、初版1957年から20年後の1977年第21刷というのが、だれも読んだ形跡のないまま、書庫にあったのだ。

訳のみならず、すべての文体が古く、活字も小さく、1冊目から読む気を失ったのだが、それでも借りてきたという事実に、せめて1冊は読み上げようと頑張った。

面白かった。勧善懲悪、のちのモンテ・クリスト伯たるエドモン・ダンテスがかっこいい。かっこいいというより、その性格のよさが目立つ。

時代背景も面白い。ナポレオンが失脚して、エルベ島に流されていたときから、王政復古、100日天下、その後の王制に戻ったところ、時代が怒涛のような変化をしていたときだ。

この小説、私にとっては舞台もなつかしい。最初と最後はマルセイユの地が舞台になっている。
14年囚われていたのは、マルセイユの沖合にあるシャトー・ディフ、小さいとき、この小説、もちろんダイジェストだったが、母に読み聞かせてもらっていたので、このシャトー・ディフにはたびたび行った。

小説に書いてあるほど、隔絶した雰囲気ではなかったが、地下牢にとらわれたままのダンテスにしてみれば、たとえ、島からマルセイユがみえようと、みえまいと関係なかったろう。

この本、翻訳をかえて出ないものだろうか。岩波書店にお尋ねしたい。



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